勝三郎連獅子の歌詞

勝三郎連獅子

(本調子)
夫牡丹は百花の王にして 獅子は百獣の長とかや
桃李にまさる牡丹花の 今を盛りに咲き満ちて
虎豹に劣らぬ連獅子の 戯れ遊ぶ石の橋


是ぞ文珠の在します 其の名も高き清涼山
峰を仰げば千丈の 漲る瀧は 雲より落ち
谷を望めば 千尋の底 流れよ響く松の風
見渡す橋は夕陽の 雨後に映ずる虹に似て
虚空を渡が如くなり


かかる険阻の山頭より 強臆ためす親獅子の
恵みも深き谷間へ

蹴落とす子獅子は 転々々 落つると見えしが
身を翻し 爪を蹴たてて 駈登るを
又突き落とし 突き落とす
猛き心の荒獅子も

二上り)
牡丹の花に舞ひあそぶ 胡蝶に心やはらぎて
花に顕われ葉に隠れ 追ひつ追われつ余念なく
風に散り行く 花びらの ひらりひらひら
翼を慕ひ 共に狂ふぞ面白き

(本調子)
折から笙笛琴箜篌の妙なる調べ 舞ひの袖

【狂ひの合方】

獅子団乱旋の舞楽のみぎん 牡丹の花ぶさ香ひ満ちみち
大巾利巾の獅子頭 打てや囃せや牡丹芳 牡丹芳
黄金の蘂あらわれて 花に戯れ枝に臥しまろび
実にも上なき獅子王の勢ひ 靡かぬ草木もなき時なれや
万才千秋と舞ひ納め 万才千秋と舞ひをさめ

獅子の座にこそなほりけれ